• シュレッダとは
  • 機密処理の効用
  • 機密漏洩事故事例
  • 上手な使い方
  • シュレッダの部類と特徴
  • シュレッダの歴史

シュレッダは、1960年(昭和35)年に、1号機が開発されて以来、技術開発が進み、特に小型化・消音化によってオフィス内での利用が可能となった1965(昭和40)年代中頃から市場が形成され、個人情報保護法の施行により、今や情報化時代における機密漏洩防止のための重要な役割を担う機器として成長してきました。

(1)黎明期

 1960(昭和35)年、株式会社明光商会によって我が国初めてのシュレッダ(文書細断機)が開発されました。シュレッダといっても知る人もいない需要創造品でしたので、金融機関や大企業などを訪問し、PR啓蒙しながら販売する時代でした。
 当時の我が国では、会社全体が一つの家族という通念などもあり、相互の信頼感が存在し、企業秘密が漏れるという考え方は一般にありませんでした。このような風土をもつ我が国にシュレッダがそれまで育たなかったのは当然でありました。
 シュレッダの販売には、その性能を理解してもらう以前に、まず機密書類を細断することが企業にとって必要不可欠なことであり、機密が漏れる危険性を防止するにはシュレッダで細断する以外に方法はない、ということを認識してもらう必要がありました。

(2)多機種少量生産

 当初のシュレッダは、まさに鉄の箱という表現そのものでした。厚い鋼板や鋳物を使い、2階から落としても壊れないと言われたほど頑丈に作ってありました。
 需要が官公庁や大企業に偏っていたものの、ユーザーニーズは多様化しており、生産台数が比較的少ないにもかかわらず、典型的な多機種少量生産の商品でした。

(3)機械からオフィスユースへ

 シュレッダもオフィス機器の一つとして、他のOA機器とともに置かれたり、パーソナルユースとして役員室などに置かれる時代になってくると、シュレッダのデザインや騒音が問題視されるようになりました。
 そこで、小型軽量化のために、鋼材を薄くし、木目模様の採用など一流デザイナーのデザインを採用したり、ギアモータを採用して低音化を推進するなどの努力が重ねられました。

(4)操作性の向上

 シュレッダが特殊な場所で、特別な人たちが使う時代ではあまり問題にならなかった操作性も、一般オフィスでも使用されるようになると重要視されるようになりました。書類を入れる給紙装置も、当初は1枚ずつ手差ししなければなりませんでしたが、大量処理用の機器には自動給紙システムが採用されました。
 また、操作ボタンを一か所に集中し、操作パネルを備えるなど操作性を容易にし、その他として、細断屑が屑箱一杯になるとカッタが自動的にストップする「オーバーフローストップ」機能などの安全装置も一部の機器に付けられるようになりました。

(5)カッテイング装置

 1971(昭和46)年ごろ、「クロスカット方式」が採用されるようになりました。シュレッダの認識が高まるにつれ、それまでのカッテイング方式(ストレートカット)よりもさらに細かく細断することで復元の危険率を低くしようとしたものです。
 このクロスカット機は、単に細かく切り刻むだけでなく、屑嵩が小さく、処理後に便利ということで好評を博しました。
 1979(昭和54)年には、1×9.6mm の極小細断として「ワンカット・クロスカッタ」が開発され、極秘書類の多いユーザーに歓迎されました。また、圧縮砕断方式(ワンカットクロス・プレスチップカット)を採用し、A4判の紙を800片の細かいチップにする機械も現れました。

(6)専用機・大型機・パーソナル化時代

 シュレッダのユーザーが限定されていた時代には、1台の機械で何でも処理したいということで比較的中級機クラスに需要が集中していました。しかし、シュレッダの普及とともに、上は大型機から、下はパーソナル機まで、種類も豊富になりました。
 1975(昭和50)年頃から、コンピュータ用紙の専用機あるいはマイクロフィルム専用機などの専用機時代がきました。さらに専用機は多様化し、医療器具用、CD用などの専用機が開発され、ニーズの多様化に対応してきました。
 大型機については、1980年代には既に、保存文書を大量に処理するための機器が開発され、プレス機とセットで販売されました。1996(平成8)年からは、文書保存箱ごと細断できる大型機も販売されました。他方、1980年代に入ると、インテリジェントビル時代に備え、各フロアで細断された屑をセントラルバキュームで空気搬送する一括集中システムも開発され、ビルの建設前の設計段階から、シュレッダをプランする時代になりました。

(7)産業スパイ事件で脚光

 企業間、国家間の機密をめぐる攻防は、激化の一途をたどりました。
 特に、1967(昭和42)年11月の産業スパイ事件をきっかけに、多くのマスコミは「マル秘文書は切り刻め」というキャンペーンを展開、「企業防衛の策としてシュレッダ」が紹介されたことは、シュレッダの社会的な認識を高め、その後の飛躍につながりました。

(8)機密情報の処理に焼却炉をやめ、シュレッダで処理

 1999(平成11)年7月16日、「ダイオキシン類対策特別措置法」が成立しました。
翌年1月に施行され、廃棄物焼却炉に係るばいじん等の処理が規制されることになり、一般の家庭においても公共の施設においても廃棄物(紙類)の焼却が禁止となりました。
 それまでは、機密情報を含む紙の廃棄物の処理は焼却炉を使用していましたが、焼却処分がダイオキシンの発生により、全面禁止となったことから、紙の廃棄処理はシュレッダで行うようになり、シュレッダの需要が大きく伸びました。

(9)個人情報保護法の発令により、シュレッダの需要が大きく伸びる

 2003(平成15)年5月23日、「個人情報保護法」が成立しました。
2005(平成17)年4月1日に全面施行され、法成立から各企業や一般家庭でも個人情報が記載されている紙の廃棄についてはシュレッダを使い、個人情報漏洩を防ぐ意識が浸透してきました。
 この時期のシュレッダの需要に対し、多くの商社・メーカーが市場に参入し、外国製のシュレッダが市場に出回りました。
 2005年のシュレッダの出荷実績は前年の2.0倍を超える出荷量があり、それでも日本国内のシュレッダ市場は不足感が収まらないという時期でした。

(10)幼児の指の事故発生を踏まえたシュレッダ安全性の見直し

 2006(平成18)年9月頃、シュレッダによる幼児の指の事故が何件か発生したことを踏まえ、社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会と社団法人全日本文具協会では、『シュレッダ可動部』の安全対策を見直しました。
  両協会は、社団法人日本電気協会と電気用品調査委員会が作成した「文書細断機の可動部の保護等に関する技術基準検討報告書」に基づき、2006(平成18)年12月、『シュレッダ可動部の安全に関するガイドライン』を作成、公表しました。
  同ガイドラインは、業界として安全性を強くアピールし、自主的な要求事項を盛り込んだものでした。
  その後、経済産業省の「電気用品安全法に基づく電気用品の技術上の基準を定める省令の一部改正/2006(平成18)〜2007(同19)年8月17日付」を受け、2007(平成19)年8月、両協会は上記の改訂版『シュレッダ可動部の安全性に関するガイドライン/第2版』を発表し、開示しました。

(11)グリーン購入法(平成27年度改定版)の対象商品です。

判断基準は下記のとおりです。
 ・待機児消費電力1.5W以下
 ・低電力モードまたはオフモードへの移行時間は10分以下

(12)ガイドライン第2版の発表・開示

 経済産業省の「電気用品安全法に基づく電気用品の技術上の基準を定める省令の一部改正/2006(平成18)〜2007(同19)年8月17日付」を受け、2007(平成19)年8月、一般社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会と一般社団法人全日本文具協会の両協会は上記の改訂版『シュレッダ可動部の安全性に関するガイドライン/第2版』を発表し、開示しました。

(13)ガイドライン第3版の発表・開示

 2013(平成25)年7月1日に「電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈」について、シュレッダ関係個所が改正されたことから、「シュレッダ可動部の安全性に関するガイドライン/第2版」を見直し、同ガイドラインの第3版を2022(令和4)年8月1日に発行しました。